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膀胱炎

膀胱炎とは

膀胱炎は、尿を溜めて排出する「膀胱」という臓器に、細菌などが侵入して炎症を起こす病気です。
尿の通り道に細菌が感染して炎症が起きる「尿路感染症」の一種であり、おしっこをする時の痛み、トイレが近くなる、おしっこを我慢しにくいなど、膀胱に刺激が起こる症状が主な特徴です。
女性患者様がほとんどであり、当院でも多くの方が来院されます。

症状

膀胱炎になると、炎症によってさまざまな不快な症状が現れます。主な症状は以下の通りです。

  • 頻尿:
    膀胱が炎症で敏感になるため、トイレに行ったばかりでも、すぐにまた行きたくなる状態になります。

  • 排尿時痛:
    おしっこの最初や最後に、ツーンとした強い痛みや、ヒリヒリ感、刺すような痛み、鈍い痛みなどを感じることがあります。

  • 残尿感:
    おしっこを出し終わったのに、膀胱の中にまだ残っているようなスッキリしない感覚が残ります。

  • 尿混濁:
    細菌と戦った白血球がおしっこに混ざることで、おしっこの中に白いモヤモヤしたものが浮いたり、全体的に白く濁ったりすることがあります。

  • 血尿:
    膀胱の粘膜が炎症によって傷つき、おしっこに血液が混ざることもあります。

  • 下腹部の不快感:
    膀胱のあたりや、下腹部に違和感や不快感、軽い痛みを感じることもあります。

注意すべき症状

膀胱炎では、通常発熱はほとんどありません。もし、膀胱炎のような症状に加えて、38℃以上の発熱や悪寒がある場合は、膀胱の上の「腎臓」にまで細菌感染が広がり、腎盂腎炎を起こしている可能性があります。このような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

原因

膀胱炎のほとんどは、細菌が尿の出口から侵入し、膀胱に感染して炎症を起こすことが原因です。
原因菌の60〜80%は、便などに含まれる「大腸菌」です。

女性に膀胱炎が多い理由

女性は体の構造上、男性よりも膀胱炎になりやすい傾向があります。

  • 尿道が短い:
    女性の尿道は約3〜4cmと、男性に比べて非常に短いため、細菌が尿道から膀胱に簡単に到達してしまいやすいのが大きな原因です。

  • 尿道口と肛門・腟が近い:
    女性の尿道口は、肛門や腟といった細菌が多い部位と近い位置にあるため、排便時や性交渉時などに細菌(特に大腸菌)が尿道に入り込んでしまいやすくなりまます。

膀胱炎にかかりやすくなる生活習慣や状況

  • トイレを我慢する:
    おしっこには、膀胱に入り込んだ細菌を洗い流す大切な役割があります。長時間トイレを我慢すると、細菌が増殖しやすい環境が作られてしまいます。

  • 免疫力の低下:
    風邪をひいたり、体が冷えたり、疲労やストレスが溜まったりすると、免疫力が低下し、細菌に感染しやすくなります。

  • 性交渉:
    20代から40代の女性の膀胱炎は、性交渉がきっかけで起こることが多くあります。性交渉によって細菌が尿道に入りやすくなるためです。

  • 妊娠中:
    妊娠中は、大きくなった子宮が膀胱や尿道を圧迫し、尿が膀胱に残りやすくなることで、細菌が繁殖しやすい状況になり、膀胱炎を発症するリスクが高まります。

  • 閉経後の女性:
    閉経後の女性は、女性ホルモンの減少により、雑菌の繁殖を抑える力が低下するため、膀胱炎を発症しやすくなります。

膀胱炎を引き起こす基礎疾患

尿路や全身に他の病気があるために膀胱炎を発症するタイプを複雑性膀胱炎と言います。
成人男性の場合、通常膀胱炎は発症しません。もし成人男性が膀胱炎になった場合は、ほとんどがこの複雑性膀胱炎と判断されます。

複雑性膀胱炎の基礎疾患としては、前立腺肥大症、尿道狭窄、神経神経因性膀胱、尿路結石、尿路腫瘍、糖尿病などがあります。複雑性膀胱炎の場合は基礎疾患の精査も必要です。また、ごくまれに間質性膀胱炎という細菌が関与しない膀胱炎もあります。

 

診断

  • 問診:
    症状や基礎疾患、既往歴について詳しくお聞きします。

  • 尿検査:
    膀胱炎の診断に最も重要となるのが尿検査です。必ず行います。

  • 尿定性・尿沈渣: 尿の見た目や、顕微鏡を使って尿中の赤血球、白血球、細菌などを詳しく調べます。
  • 細菌培養検査: 膀胱炎の原因となっている細菌を特定します。
  • 薬剤感受性試験: 特定された細菌に、どのような抗菌薬が効果的かを調べます。
  • エコー検査:
    複雑性膀胱炎を疑う場合、基礎疾患の有無を確認するため行います。

治療

膀胱炎の治療は、抗菌薬を使って治療します。
患者さんの状況(閉経前か閉経後かなど)や細菌培養検査の結果によって、ニューキノロン系抗菌薬、セフェム系抗菌薬などを選択します。

  • 抗菌薬の服用:
    年齢などで原因菌は異なります。効果のある抗菌薬選択します。通常、効果の即効性があり数日でつらい症状は改善されます。
    改善がない場合は薬剤感受性試験の結果を参考に抗菌薬を変更します。

  • 基礎疾患の治療:
    原因となっている病気(前立腺肥大症や尿路結石、糖尿病など)がある場合は、そちらの治療を優先して行います。
    根本的な原因を解決しなければ、膀胱炎を繰り返す可能性が高いためです。

予防

膀胱炎は、適切な治療と日頃の生活習慣を見直すことで、再発を防ぐことが可能です。

治療と並行してできるセルフケア

  • 水分をたっぷりとる:
    おしっこの量を増やし、膀胱内の細菌を体外に洗い流すために、こまめに水分を摂ることが重要です。

  • お腹を温める:
    膀胱や下腹部のあたりを温めると、痛みなどの症状が楽になることがあります。

膀胱炎を予防するための生活習慣のポイント

  1. 水分をこまめにたくさん摂る:
    おしっこの量を増やし、膀胱内に侵入した細菌を尿と一緒に体外へ洗い流すことが重要です。

  2. トイレを我慢しない:
    尿が膀胱に長時間たまっていると、細菌が増殖しやすい環境になってしまいます。

  3. 排便後のお尻の拭き方に注意する:
    肛門の周りの細菌が尿道に入り込むのを防ぐため、必ず「前から後ろ」に向かって拭くようにしましょう。

  4. 性交渉の前後には清潔にする:
    性交渉の前後にシャワーを浴びるなどして清潔にし、性交渉後は必ず排尿するようにしましょう。

  5. 免疫力を高める:
    十分な睡眠時間、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレスをためない工夫を心がけましょう。

  6. 閉経後の女性は特に注意:
    女性ホルモンの減少により、雑菌の繁殖を抑える力が低下するため、日頃から予防策を意識することが重要です。

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