白癬(水虫)
水虫(白癬)とは
水虫は、白癬菌というカビが皮膚や爪に感染して起こる病気です。一般的には、足にできるものを「水虫」、爪にできるものを「爪水虫」と呼びます。
日本人の約10~20%が水虫にかかっていると言われています。
足の水虫では、足の指の間の皮むけやジュクジュク、小さな水ぶくれ、かかとや足の裏の皮膚の肥厚などがみられます。
一方、爪水虫では、爪の濁り、肥厚、爪の下の角質増殖などが主な症状です。放置すると、足の水虫が繰り返す原因になったり、爪の変形がひどくなって歩行時の痛みや転倒のリスクにつながったりすることもあります。
原因
水虫の主な原因は、白癬菌という真菌(カビ)の感染です。
白癬菌は、感染した人の皮膚や爪から剥がれ落ちた角質に長期間生存しており、足拭きマット、スリッパ、靴の中、プールや温泉の床などを介して他人に感染します。
特に、高温多湿な環境は白癬菌の増殖に適しているため、靴を長時間履く、蒸れやすい靴下を履いているなどの状況は感染のリスクを高めます。
また、家族内に水虫患者がいる場合も感染しやすいと考えられます。足の水虫を放置していると、爪水虫を合併することもありますし、その逆もあります。
診断・検査
水虫の診断は、症状だけで判断することは難しいため、必ず顕微鏡の検査を行い診断する必要があります。顕微鏡検査(鏡検)
水虫の診断のために必ず必要な検査です。患部の鱗屑(皮膚から剥がれ落ちる細かい角質)や、爪の一部を採取します。
処理した検体を顕微鏡で観察し、白癬菌を確認できれば水虫と診断できます。
検査前に水虫の外用薬を使用されていると、検査に影響が及び白癬菌を確認できない場合もあります。
そのため、自己判断での水虫治療はおすすめしません。
白癬菌抗原キット
爪水虫は顕微鏡で菌が確認できない場合もあり、白癬菌抗原検査を行うことがあります。
治療
水虫の治療は、足水虫と爪水虫で治療法が異なります。一般的に足水虫は治りやすいですが、爪水虫は難治です。足水虫の治療
足水虫の治療の基本は、抗真菌薬の外用です。適切に治療すれば、約90%の治癒率が見込まれます。外用治療
代表的な外用薬としてアスタットクリーム、ルリコンクリーム、ゼフナートクリームなどがあります。
外用治療のポイントは広範囲に塗布することです。症状がある部分だけでなく、足指の間から足の裏全体に塗り残しのないように塗布しましょう。
また、症状が良くなってからも、最低1ヶ月は継続して塗布することで再発を防ぎます。自己判断で塗布を中止すると再発しやすくなります。皮膚が厚く硬くなっているタイプには、尿素含有クリーム(ケラチナミンコーワクリームなど)を併用することで、薬剤の浸透が良くなり治療効果が高まります。
また、湿疹やただれがある場合は、抗真菌薬の外用は刺激でかぶれることがあり使用は推奨されません。これらの症状が強い場合は、まずそちらの治療を行います。
内服治療
外用薬のみでは治りにく皮膚が固くなるタイプの足水虫や、爪水虫を合併している場合には、抗真菌薬の内服を検討します。
代表的な内服薬としてラミシールなどがあります。これらの薬剤は、肝機能障害などの副作用のリスクがあるため、血液検査などを行う必要があります。内服薬は外用薬よりも高い治療効果が期待できます。
爪水虫の治療
原則として抗真菌薬の内服が推奨されます。外用薬のみでの治療も可能ですが、完治率は内服治療に比べて低い傾向にあります。内服治療
以前の抗真菌薬は、副作用や他の薬剤との相互作用に注意が必要な場合が多く、使いにくい面がありました。しかし、2018年に登場したネイリンは、以前の薬剤と比較して副作用が少なく、12週間の内服後の完全治癒率は約60%と高い効果が示されています。ただし、肝機能障害が起こる可能性があるため、内服中は定期的な血液検査が必要です。
外用治療
外用薬は内服薬に比べて効果は劣りますが、全身性の副作用がほとんどなく、安全に使用できます。爪の表面のみに感染が限局している場合や軽度の爪水虫、あるいは内服薬の使用が難しい場合に適しています。爪水虫専用の外用薬としては、ルコナック爪外用液とクレナフィン爪外用液があります。