アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とはかゆみを伴う皮膚炎(湿疹)で、慢性的な疾患です。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返します。
症状
かゆみの強い皮疹を左右対称性に認めます。乾燥症状が強く、冬から春にかけて症状が増悪することが多いです。年齢によって症状が変化します。
伝染性膿痂疹(とびひ)や伝染性軟属腫(みずいぼ)などの皮膚感染症を合併しやすいのも特徴です。
- 乳児期:顔面から頸部に皮疹を認めます。
- 幼児期~学童期:顔面の皮疹は減少し、肘、膝裏に皮疹を認めます。
- 思春期~成人期:顔面、頸部など上半身に皮疹が強く、長年の経過で多彩な皮膚症状を認めます。
原因
アレルギー体質と皮膚のバリア機能の低下が原因と考えられています。
- アレルギー体質(アトピー素因):喘息、アレルギー性鼻炎がある。家族にアトピーの方がいる。
- 皮膚バリア機能の低下:アトピー性皮膚炎で保湿に関わるセラミドの減少や、フィラグリンの遺伝子異常が報告されています。
診断、検査
アトピー性皮膚炎の診断には特別な検査は必要とせず、経過と症状で診断します。
日本皮膚科学会の診断基準では以下の3つの基準を満たせばアトピー性皮膚炎と診断されます。
①掻痒(かゆみ)がある。
②特徴的な皮疹と分布
③慢性・反復性の経過:乳児では2カ月以上、その他では6カ月以上
必要に応じて、以下の血液検査を行います。
・総IgE:アトピー素因を示す。長期的なコントロールが良好であれば低下します。
・TARC:病勢を敏感に反映し、重症度に相関して上昇します。
・特異的IgE検査(View39など):原因アレルゲンを推定できます。
治療
アトピー性皮膚炎は、年齢とともに改善していく傾向にありますが、慢性に経過していく病気です。
治療の目標は日常生活に支障がないレベルの症状で、薬物療法もあまり必要としない状態を維持することです。
スキンケアと外用剤が治療の基本になります。近年はデュピクセントをはじめとした生物学的製剤が登場し、重症の方も良好に症状がコントロールできるようになりました。
当院ではデュピクセントによる治療も可能ですので、お気軽にご相談ください。
- スキンケア:保湿剤の使用、入浴、シャワーで清潔を保つ。
- 外用剤:皮疹の重症度に応じたステロイド外用剤やアトピー専用外用剤(プロトピック、コレクチムなど)を使用します。
- 内服薬:かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬を使用します。
- 生物学的製剤:重症の方にはデュピクセントなどの生物学的製剤の使用を考慮します。